そのイケメン、オタクですから!

ついメイド服に散弾銃のナナを想像しちゃった。
……それは私だし。
メイド服って言っちゃわなかったしばれてない……よね?

「いや、ただの妄想なんですけど」
ごまかせていた気もしないけど、桜井先輩はあまり気にしてなかったみたいで。

「想像力がすごいね。全然違ったよ。ストレートの黒髪で気の強そうな美人だったけど」
そりゃ、どっちかっていうとナナよりルルだな。

まさか及川先輩って実はいつもルル目当てでめいどいんふぁいとに通ってるんじゃ。

……何かやだな。
私のファンだと思ったのに。

私っていうかナナだけど。
指名が減るのが嫌なだけなんだけど、さ。

誰に言い訳してるんだ、私。

無言でカップを置いた私に、及川先輩は「遅―よ」って憎まれ口を叩いてすぐに口をつける。
「熱ッ、お前俺に何か恨みでもあんのか?」」

ふふん。
自業自得なんだから。

何だか腹が立って淹れたばっかりのコーヒー、さらにレンジで温めてやったんだから。
「熱い方が美味しいと思って」って冷たく返してやる。

及川先輩は厳しい。
私にも。
イケメンだって騒いでなんてないのに……何で?
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