そのイケメン、オタクですから!
3
「あの顔で純情って、意外だったね」
健くんの定食屋さんで向かい合ったよっちゃんが口を開く。
二人ともいつものヘルシー定食を注文した後だ。
「誰が純情って?」
のれんをかき分けて健くんが話に割り込んできた。
「ちょっと邪魔しないでよ」
よっちゃんが押し退けようとするけど、健くんは構わずによっちゃんの隣の椅子を引く。
「及川先輩」と答えると、「あー、あのオタクのイケメン? あ、イケメンのオタクか」と健くん。
どっちでもいいし。
「何? オタクって?」
よっちゃんが食い付いてきた。
そういえばよっちゃんには及川先輩のこと言ってなかったんだ。
バイトの常連客が及川先輩だと説明すると、よっちゃんは目を丸くした後、数秒固まってから悲鳴を上げた。
「…………本当に? 信じられない!」
そりゃあそうだよね。
私だって学校での及川先輩を見てると同一人物だとは思えない。
メイドカフェではただのボサボサの髪だけど、ワックスで無造作に整えると実はツーブロックだし。
近くで見ると肌のキメがやたらに細かいし。
でも間違いない。
「そうなんだ。だからナナだってばれたらまずいの」
「そっか。学校での留愛を見てたらばれるとは思えないけど。いやー本当にびっくりだわ。これ」
まだ目を丸くしてるよっちゃんが、でも、と続けた。
「気をつけなきゃいけないのは桜井先輩の方じゃない?」
健くんの定食屋さんで向かい合ったよっちゃんが口を開く。
二人ともいつものヘルシー定食を注文した後だ。
「誰が純情って?」
のれんをかき分けて健くんが話に割り込んできた。
「ちょっと邪魔しないでよ」
よっちゃんが押し退けようとするけど、健くんは構わずによっちゃんの隣の椅子を引く。
「及川先輩」と答えると、「あー、あのオタクのイケメン? あ、イケメンのオタクか」と健くん。
どっちでもいいし。
「何? オタクって?」
よっちゃんが食い付いてきた。
そういえばよっちゃんには及川先輩のこと言ってなかったんだ。
バイトの常連客が及川先輩だと説明すると、よっちゃんは目を丸くした後、数秒固まってから悲鳴を上げた。
「…………本当に? 信じられない!」
そりゃあそうだよね。
私だって学校での及川先輩を見てると同一人物だとは思えない。
メイドカフェではただのボサボサの髪だけど、ワックスで無造作に整えると実はツーブロックだし。
近くで見ると肌のキメがやたらに細かいし。
でも間違いない。
「そうなんだ。だからナナだってばれたらまずいの」
「そっか。学校での留愛を見てたらばれるとは思えないけど。いやー本当にびっくりだわ。これ」
まだ目を丸くしてるよっちゃんが、でも、と続けた。
「気をつけなきゃいけないのは桜井先輩の方じゃない?」