そのイケメン、オタクですから!

……と思ったけど。

生徒会の日は毎日……。
「七瀬、コーヒー」
「はいっ、ただいま」

選挙演説のために作った原稿は……。
「七瀬、これ小学生の作文?」
「違いますっ」

私が作った選挙の為のたすき……。
「七瀬、俺の名前を勝手に変えるな」
「え? 間違ってませんよ」
「俺は優じゃなくて、悠なんだよ」
「そっか、先輩の名前に優しいって漢字なんて、そんなわけないですよねー」
「あ?」
「いえ、何でもないですっ」

及川先輩って本当に厳しいんだよね……。

いつか絶対、オタクだってばらしてやるんだから!

そう心に決めた放課後。
机に突っ伏した私に、よっちゃんが声をかけてくれる。

「留愛、大丈夫?」
「うん……」

大丈夫。
選挙さえ終われば一息つけるんだし。
「無理しないでね……って言っても難しいと思うけど」
心配そうに眉を下げるよっちゃんに、教室の入り口から声がかかった。
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