そのイケメン、オタクですから!
「水島さん。ちょっといい?」
「あ……はい」
顔を上げると教室中の注目を浴びているのは桜井先輩だった。

ジャニーズのアイドルみたいな笑顔で女子皆に会釈すると、「きゃあっ」と悲鳴が上がった。
生徒会の時も全くボロを出さない先輩は、やっぱり天使なんじゃないかと思ってしまう。

で、天使が私の親友に何の用?

よっちゃんが人目を気にしながら教室を出ていく。
そういえば最近、よっちゃんと桜井先輩仲がいいな。

「いいなぁ、生徒会に入れて。ずるいよね」
「本当、何したんだろ」
いつもグループで固まってる女の子たちが、声を潜めることもなく話し出す。

こういう時、本当に私の事は眼中にない。
ブスでダサいから先輩たちに相手にされるわけないってことなんだろう。

よっちゃんはそれほど目立つタイプじゃないけど可愛いから、女子の反感を買いやすいみたいだ。
大丈夫かな。

なんて考えてる場合じゃない。
早く行かなきゃバイトに遅刻しちゃうよ。

駅までは歩いて10分。
私が乗らなきゃいけない電車は8分後。
よっちゃんには後でメールを送ることにして駆け出した。
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