そのイケメン、オタクですから!
七瀬留愛がメイドカフェの「めいどいんふぁいと」に入るところを及川先輩に見られたら、言い訳のしようがない。
綱渡りみたいな日々から抜け出したいけど、今はまだその時じゃない。
「もしも先輩が来ても、ばれたりしない。大丈夫」
自分に暗示をかけながら髪を巻いて今日はポニーテルにする。
メガネの跡がついてないか慎重に確認して鏡ばっかり見つめてたら、ちょっとメイクが濃くなっちゃった気がする。
コンコンッとノックの音がして、ドアの外から店長の声が聞こえた。
「ナナ、来てる?」
「はい」
「常連様が来られてるから、なるべく早く出てきて」
「……はい」
背のジュンジャーの他にも常連様はいるから、きっと違うよね。
「大丈夫。大丈夫」
何度も呟いてリップブラシを引く。
はみ出してしまってイライラしながら拭き取った。
ナナの時は1オクターブ高い声で、ちょっと媚びた甘ったるい喋り方。
気持ちを切り替えていつもの言葉を心で唱える。
よし。指名稼いで、学費を稼ごう。
綱渡りみたいな日々から抜け出したいけど、今はまだその時じゃない。
「もしも先輩が来ても、ばれたりしない。大丈夫」
自分に暗示をかけながら髪を巻いて今日はポニーテルにする。
メガネの跡がついてないか慎重に確認して鏡ばっかり見つめてたら、ちょっとメイクが濃くなっちゃった気がする。
コンコンッとノックの音がして、ドアの外から店長の声が聞こえた。
「ナナ、来てる?」
「はい」
「常連様が来られてるから、なるべく早く出てきて」
「……はい」
背のジュンジャーの他にも常連様はいるから、きっと違うよね。
「大丈夫。大丈夫」
何度も呟いてリップブラシを引く。
はみ出してしまってイライラしながら拭き取った。
ナナの時は1オクターブ高い声で、ちょっと媚びた甘ったるい喋り方。
気持ちを切り替えていつもの言葉を心で唱える。
よし。指名稼いで、学費を稼ごう。