そのイケメン、オタクですから!
学費が一番安いっていう理由でこの高校に入った私。
正直成績的にはかなり努力した。

入学してからは気が抜けたのもあるしバイトも忙しくて、成績は真ん中ってところだった。
その上最近は生徒会活動まであるから全然勉強していない。

真ん中すら自信がないのに……上位?
絶対、無理!

「そんなぁ。……先輩、さようなら。公約、絶対実現させてくださいね……」
項垂れた私に、当たり前みたいに桜井先輩が言った。
「大丈夫だよ。悠斗は教えるの上手いから」

「は? 何で俺が?」
及川先輩の声が裏返った。

「先輩。よろしくお願いします。留愛の苦手な数学と化学、私もダメで……」
ってよっちゃんまで被せてくる。

確かに完全に数学と化学が足を引っ張ってるから、その2教科が何とかなれば上位も夢じゃないけれど。

「七瀬ちゃん選挙活動頑張ってたから、成績落ちたら悠斗のせいだよ。ちゃんと責任とらなきゃ、ね」
世の女子にため息をつかせるような可愛い笑顔で、桜井先輩が畳みかけた。

目は笑ってないですよ。桜井先輩。

どうしてなんだろう。
及川先輩は不思議と、桜井先輩に頭が上がらないところがある。
怖くて理由は聞けないけれど。
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