そのイケメン、オタクですから!
ピピピピピ!

タイマーの音が響いた。
「はい、終了」
3つの答案が先輩の手に渡る。

今度は苦々しい顔はしてない。
ふふ、私もまぁまぁ自信ありだもん。

1つ伸びをして立ち上がると、窓の外は夕焼けに染まっていた。

秋も終わりになると日が短い。
冬生まれの私は、寒いのは嫌いじゃないんだけど。

「10分休憩」
呟いてご丁寧にタイマーをセットし、先輩は左手で頬杖をつく。

真剣な横顔に心臓がコトリと音を立てた。
綺麗な肌。切れ長の瞳。睫毛長い。

……はっ。
だめだ、二人きりだって思い出しちゃった。
頬が熱を帯びて、誤魔化すために私は先輩に背を向けた。

「コーヒー、入れますねっ!」
「んー」

生徒会のある時はポットにお湯を入れっぱなしだからすぐ飲めるんだけど、今日は沸かすところから。

二人分の水を入れて電源を入れる。

小さな音を立てて熱を生み出すポットをぼんやりと眺める。

久々に頭を使ったから疲れたな。
先輩と一緒だから緊張感も半端ないし。
でも意外と悪くない、かも。
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