そのイケメン、オタクですから!
……言い逃げなんてずるい。

残された私は立ち尽くすだけ。
及川先輩が私を好き……本当に?

信じられない。
何度も何度も右手の中の包みを確認した。

今開く勇気はない。
私の為に、こんなに可愛い包装のプレゼントを準備したんだ。

どうしよう。
頭がこんがらがって上手く考えられない。

「七瀬が……好きだって言った……」
ちょっと上擦った先輩の声が頭の中で何度も繰り返される。

複雑な気持ちが入り混じる中で、一番大きな思いは戸惑いだった。
嬉しいと思う気持ちも混じっていることに自分で驚く。

答えなんてもちろん出せないまま、私はただ立ち尽くしていた。
< 78 / 193 >

この作品をシェア

pagetop