そのイケメン、オタクですから!
……。
その話、めちゃくちゃ心当たりがありますけれど。

「今絶対無理だと思ったでしょ? そんな顔しないでよ、ナナちゃん。コイツ学校ではモテるんだよ、これでも」

……知ってます。

「そうですよねぇ。ゆうぴょんご主人様、格好いいですもん」
「ナナちゃんは口が上手いね。でも本当だよ。俺たちもナナちゃんと一緒。これってコスプレなんだ」
「……どういう意味ですか?」

しまった。
ちょっと素が出ちゃった。

でも背のジュンシャーは誰も気に留める様子はない。

「俺たち中学の同級生なんだけど、もともとアニメ好きでさ。アニメ好きってそれだけで馬鹿にされるんだよ。オタクっぽいとか言われて。それなら思いっきりオタクっぽくなって趣味を謳歌しようとしてるわけ。
この格好してると、学校の奴らに見つかってもばれないし。
まぁ、コイツの場合は別の意味があるみたいだけど」

コイツと言って指さされたセノジュンレッドは「喋りすぎ」とパープルを睨む。

「まぁまぁ。前に通ってたメイドカフェに、素のままのコイツ連れてったらナンバーワンメイドに惚れられちゃってさ。大変だったんだよね。ナナちゃんは可愛いけど、俺たち彼女にしたくて来てるんじゃないからさ。
応援したいだけなんだよね」

うんうん、と他の人たちも頷く。

そうなんだ。
やっぱり先輩モテるんだ。

学校での様子を見てるから重々承知だけど。

でもナナと付き合いたいわけじゃない。
好きな子は別にいるんだ。
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