そのイケメン、オタクですから!
「今日は休めば良かったよ。全員名前書いてくれてるといいんだけど」
ため息をつく桜井先輩に連れられて生徒会室にやって来た。

昼休みの生徒会室は誰もいない。
夕方ここに来る時の事を考えてしまって、心臓が騒がしくなる。

まだ考えちゃダメだ。
ここ何ヶ月で私の心臓って働きすぎなんじゃないかな。
このままじゃ破れちゃうんじゃないかと心配になる。

それなのに、桜井先輩は軽い口調で余計に働かせる一言を口にする。

「悠斗に何て言うの?」
「えあっ?」
変な声が出てしまった。

「お節介だとは思うんだけど、気になって」
「な、何がですか……?」

何で知ってるの?
桜井先輩って何者?
サトリ……とかいう人の心を読む妖怪なんじゃ。

「そんなに怯えないでよ。朝たまたま悠斗のメールが見えちゃって。いつ悠斗に告白されたの? まさかクリスマスじゃないよねぇ?」

やっぱりそうなんだ。
こういう時は、どうすればいいんだっけ。
なにを考えればいいんだろ。

私がナナだとバレたら大変だ。
考えないようにしないと。

あ、考えちゃった!
「聞いてる? ナナちゃん?」
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