うそつきなあなたへ
「私、この世界の夜も大好き。みんなが一斉に明かりを灯すと、ゆらゆらとしてとても幻想的で、光が街を包み込むの。昼は、昼でとても賑やかでわくわくとした気持ちにさせてくれて、ずっといても飽きない」
「そういってくれる人がいるだけで、嬉しいよ。この世界を愛してくれてありがとう」
呪術師は、笑顔で言いました。その言葉で、少女はぽたぽたと涙を零しました。
「どうしたの、どこか痛い? 僕、なにか傷つけるようなこと行った?」
「ううん、違う。違うの」
動揺する呪術師を見て、少女は泣きながら笑いました。
「わかった、お腹が空いたんだ、そうでしょ!」
「だから、違うってばーー」
2人に笑い声が、涙と一緒になって、空に浮かんで消えていきました。