うそつきなあなたへ
はじめは、本当にふと思い出して昔見たテレビかなにかの一部かなと思って気にもとめなかったしすぐに忘れていった。 けれどそのなにかはどんどんと膨れ上がっていき、最近では一日に何回も思い出すようになっていった。
思い出すたびに、情景や人物が現れていき、やがて消えていく。
繰り返し思い出すたびに近づきそうで遠くて、もどかしく知りたいと思うほど遠くなっていく。
一体 何者なんだ お前は。
どんどんとそれは強くなってきて、とても大事なものをなくしているようなそんな気持ちになっていった。
けれど、手がかりもなく誰かに話そうとしても具体的なことが分からないし、話してみたも誰も知らないと答えるだけだった。