うそつきなあなたへ
「お嬢ちゃん、大丈夫かい!?」
吟遊詩人が、さっとマントの中に少女を隠しました。
「大丈夫、痛かったけど血は出ていないわ」
「誰がこんなことを……」
少女がマントの隙間から外を覗いてみると、少女と同じくらいか少し上の歳の子どもがこちらに向かって小石を投げていました。
もちろん、それは吟遊詩人も見ていたわけで、少女が今まできいたことないくらいに大きな声を出しました。
「ガキども、やめろ!!」
すると、子どもたちが言い返しました。
「やーーい、吟遊詩人のくせに文句言ってんじゃねーよ」
「お前なんか人じゃないって、父ちゃんが言ってたぞ」
「異邦人のくせに、この街に入ってくんな!」
子どもたちは、まだ石を投げてくるようでした。