うそつきなあなたへ

扉の向こうは、楽屋でした。ブーツを履いた女性がコツコツと音を鳴らしながら、忙しなく動いています。その人の目を盗みながら、奥へと進んでいきます。

奏者の鮮やかな楽器の色、若い女性の声、化粧品の甘い香りにくらくらしながら歩いていくと、今までよりも豪華な楽屋に辿りつきました。
ここだと思った少女は、ノックもせずにその中へと入っていきました。

部屋に入った瞬間、少女はのどの奥に指を突っ込まれたような衝撃をうけました。
確かに、その部屋は踊り子の楽屋であり、踊り子は舞台衣装から着替えている最中で、その上半身は裸でした。
しかし、あるはずの胸はなく、そのには男らしい体つきがありました。

なんと、あの端麗な踊り子は、男だったのです!

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