うそつきなあなたへ
少女はしどろもどろになりながらも、自分は街の外の子ではなく、この世界の外の子あること、この世界に迷い込んできてしまって困っていること、途中で会った吟遊詩人にこの街まで連れてきてもらったこと、その吟遊詩人が街一番の踊り子が詳しいことを知っているかもしれないと教えてくれたこと。
「踊りを見て、あなたのことだと思って。あなたに会いたくて楽屋に繋がる扉から入ってきたの」
「それは、大冒険だったね。疲れただろうに。そこ座りなさい」
すすめられて椅子に座ると、その目の前に踊り子が座りました。
「ご苦労だったね、愛しい君。しばらくここで休んでいくといい」
そう言って、踊り子は少女のおでこにそっと口づけました。