うそつきなあなたへ
「どうしたの、愛しい君。ママが恋しくなったかい?」
「お母さんも恋しいけれど、今、あなたを抱きしめたくなったの」
「どうして?」
「だって、今のあなたはとても辛そうだったから」
その言葉に、踊り子はハッとして、微笑んで、それから少女を力強くぎゅっと抱きしめました。
2人は長い間そうしていて、少女は自分の肩が濡れていくのを黙っていました。
どれぐらいの時間が経ったのでしょうか、踊り子は自分のことについて話し始めました。
「ぼくは、生まれたときからこの顔で、周りからもちやほやされて生きてきた。何をしたって誰もぼくを怒れなかったし、ぼくもそれを知ってたからたくさんの人を傷つけてきた。何をしたって構わない。そう思っていた。