うそつきなあなたへ
「建物を出たら、お城がここから東に見える。お城を目指して歩けば迷わない。その道中で騎士に会うんだ。その人は、この国全体をいつも見まわしているからね。彼は、話し方はきついけれど、みんなのことを想ってくれる心優しい人だよ。今まで迷い込んできた人を助けてくれているかもしれない。さあ、ぼくが外まで出してあげるから、おいで」
再び、踊り子に抱きしめられると、ひょいっと持ち上げられてマントの中に隠されました。
踊り子は、華奢に見えて案外力持ちです。
踊り子は、あまり部屋から出ることがないのか、歩くたびに悲鳴があがりました。
踊り子本人は、そのことを一切気にせずに歩いていました。
ようやく降ろされた先は、入ってきたところとは違うところでした。