うそつきなあなたへ
「え 踊り子ちゃんに会ったの!? ずるいな、僕も会いたいのに。僕のことなにか言っていたかい?」
「え えっと、話し方はきついけれど心優しい人だよって言ってました」
「うわあ 僕のことそんな風に思ってくれていたんだ、嬉しいな」
その顔は、さっきまでの険しい顔と違って、ぱあっと明るくなって、プレゼントをもらって喜ぶ子どものような笑顔でした。
その変貌に、少女はさきほどとはまた違った怖さに襲われました。
それに気がついた騎士は、元の険しい顔に戻り、咳払いをひとつ。
「すまない、取り乱してしまった。俺が騎士だ。俺になんの用だ」
「あ あの、実はこの世界から抜け出してもといた世界に戻りたいんです」
少女は、ここまできた経緯を話しました。騎士はその間、一言も喋らず真剣に話を聞いてときより優しく相槌をしてくれました。