うそつきなあなたへ
「では、君はこの世界に迷い込んで、もとの世界に帰る手がかりを探しているのだな」
「そうです、踊り子が困っている人を助けるあなたならなにか知っているかもと」
騎士はんんと考えてから答えました。
「確かに、俺はこの国のことならなんだって分かる。しかし違う国はともかく、違う世界のことは少ししかわからない。その人たちは、みな自分の意思で、この世界にやってくるんだと聞いたことがある」
「その人たちが、どうやって自分の世界に戻るかは聞きましたか?」
「すまない、そこまでは」
騎士は、首を横に振りました。
それを聞いて、少女はがっかりとしました。私は、お母さんにも兄弟にも村の人にももう会えないのかな。そう思うと、急に心が悲しくなってきました。