うそつきなあなたへ

「けれど、俺ではなく王子なら君がいた世界のことを、なにか知っているかもしれない。この世界に来る方法があるなら、この世界を出る方法だってあるはずだ。そんな悲しい顔をするな」

騎士は、そういって少女の頭を優しく撫でました。背が高いので、少女からしたらとても威圧感があるのですが、踊り子の言っていたように優しい人のようです。


「俺は、城に戻る。近くに馬を待たせてあるんだ。一緒に行こう、歩いて行くよりずっと早い」

差し出された手は、すらりと長く、少女のことを歓迎してくれてくれるようでした。

「行こう。じきに夜が来る。暗くなる前に城に向かおう」

少し歩くと、そこには立派な馬が繋がれていました。
騎士は、まず少女を抱きかかえて馬に乗せ、次に自分が跨りました。
馬の横に乗った時も、思っていたのですが乗ってみるとさらに馬の大きさを実感しました。


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