うそつきなあなたへ
「落ちないようにしっかり捕まっていなさい」
「私やっぱり怖いわ」
「大丈夫だ、この馬は比較的おとなしいし、俺が君を落としたりしない」
少女の手をしっかり握り、騎士はにっこりと微笑みました。
その言葉に安心して、少女は前を向きました。背中に、騎士の大きな体を感じます。
騎士が手綱をひくと、馬は走り出しました。
そのスピードは、歩くよりずっと早く、少女が何時間もかけて歩いてきた何倍もの速さで駆け抜けていきます。小さく見えていたお城が、あっという間に近づいてきました。
「すごいよ! とっても早い!私、風になったみたい!」
「君は、面白いことを言うんだね。そんなことを思ったことないけれど、確かにそうだね」