うそつきなあなたへ
「ごめんなさい、不躾な質問をしてしまって。話していてあなたがとても素敵な人だと思って、きっとお父様やお母様に愛されて、それをあなたは自分がしてもらったように自分の子にしていくだろうなって思って」
「君が思うほど、俺は出来た人じゃないよ」
その声は、なにかを押し殺したかのような声でした。
街はどんどん遠くなって、夜が2人を追いかけてきます。
家に灯りがともされて、優しい光が街を包んで行きました。
城に着くころには、すっかり暗くなっていました。
城は、少し高い土地に建てられていました。そこからは、街の全体が見えます。
「わーー、とても綺麗」
「どこをとっても綺麗だが、夜のここからの景色は特別だ。気に入ってもらえたら嬉しい」
「私、この街を知るたびに好きになる。いろんな顔を持っていて飽きない」
「それは、良かった」