うそつきなあなたへ
騎士はゆっくりと、少女に話し出しました。
「あるとき、王の命令で数日この国から離れることになった。この国を守るためなら、なんだってすると決めていたからね。快く引き受けたよ。
ただ、気がかりだったのは大切なものを置いていくことだったんだ。こんな不安なときに、傍にいれないことが心配だった。けれど、たった数日間だけ離れるだけで、戻ればまた同じように会えると信じた俺は、残して戦地へ向かった。
任務を終えて、数日で帰ってきた俺を待っていたのは、焼けた街の一部だった。
俺がいれば、すぐに火を消し止められるが、生憎俺の代わりの指揮官が、十分の指示が出来なくてね。あっという間に、火は街を飲み込んだ。
俺が、この街から数日、目を離したから、大切なものを失ったんだ。