うそつきなあなたへ
王子は、やっぱり優しい顔で微笑んでくれました。
ここの人たちは、どこまで温かいのでしょうか。きっとこの優しさを返すのには、一生かけても返しきれないわ、と少女は思いました。
「姫の部屋は、もう準備してあるから」
「はい、けれどもう少しだけ絵を見てからにするわ」
少女が、そうするとそれじゃあ僕も一緒にと少女の傍まで来て、横に座りました。
しばらく見ていると、ふと少女が疑問に思い、王子に尋ねました。
「ねえ、王子さま。この男の子が王子さまなら、この2人は? この人たちもこのお城に住んでいるの?」
少女は、ただ純粋に訊いてみただけで、この人たちがこのお城に住んでいるのなら会ってみたいと思いました。きっと、王子のように素敵な人だろうなと考えながら、王子の返事を待っていましたが、一向に返ってきません。聞こえなかったのかなと不思議に思い、王子の方を見ると、今までに見たこともない苦い顔をしていました。