うそつきなあなたへ

「僕たち3人は、気づいたときからずっと一緒だった。何をするにも同じじゃなきゃ嫌だった。けれど、大きくなるとそういうわけにもいかなくなって、僕は剣術や馬術の勉強のために城から出ることが多くなり、2人は城にいたんだ。同じ城にいるはずなのに、会えない日が増えていった。
雲行きが怪しくなってきたのは、母上が弱ってきてからだ。
元々、体が強くない人でね、ずっと部屋にいたんだけど、持病が急に悪化して、医者の手の施しようがないままこの世を去った。

それから、父上は国を置いて狂ったかのように戦争をし始めた。些細なことがきっかけでも、父上は人を殺した。どうしようもなかっただろうね。争い事が好きだったとは言え、その残虐さは日に日にひどくなっていった。
僕はというと、父上の言いなりだった。父上が行くところに僕もついていく。
何も言い返せなかった。父上の悲しみも痛いほど分かるし、僕もやり場のない気持ちを消化したかった。誰も悪くない。父上についていけばいつか必ずこの終わり見えない闇が、終わると信じていた。ずっと信じていた。
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