うそつきなあなたへ
「大丈夫、少し様子をみてくるだけだ。隣の国が僕らにちょっといじわるしてきただけさ」
「私も残る。あなたたちとここにいる」
「姫、よく聞くんだ」
王子は、少女の両肩をしっかり掴み、諭しました。
「この世界は、見えない闇に浸食されている。いずれそれは、この国を飲み込んでしまうだろう。その前に、姫はここから抜け出して自分のもといた世界に戻るべきだと僕は思うんだ。姫に何か起こったら、僕は姫のお母様に顔向け出来ない。
僕だって姫とずっとこうやって過ごしていたい。けれど、姫には戻るべき世界が待っている」
「でも、でも、あなたを置いていくことなんてできない」
「僕のかわいい姫」
王子は、優しく優しく少女に語りかけます。