うそつきなあなたへ
「美味しい。これ私の村にもあるの」
「それはどこの世界も存在するのか、不思議だな。たくさんあるからいくら飲んでもいいぞ」
旅人は、嬉しそうに言いました。彼の傍に目をやると、そこにはたくさんの食料と飲料が山のように積んであります。
「おじさん、こんなにたくさんどうやって手に入れたの」
彼は、旅人だと言っていました。品物を手に入れるためには、いくらかはお金が必要です。お金は、働かないと手に入らないと少女は知っています。
だから、おれはおじさんじゃないと否定しつつも、旅人は答えました。
「街の家々から少々拝借してきたのさ」
あまりにもさらりと答えたので、少女は耳を疑いました。
「はいしゃく……?」
「ああ、借りてきたんだ。あの人達はいいものを隠しもっているのさ。少しくらい借りてきたっていいだろ」