うそつきなあなたへ
「ここまでくれば、もう十分だろ……」
旅人は、足を止めました。息がとても苦しそうです。
「とりあえず、この世から離れるときにあれはああいうことだったんだなってゆっくり答え合わせをすればいい。そのときにでも全然遅くないんだから。
今は、答えをわからないままでいいから集めていけ。それが、分かるときになったらそれを分かるだけ大きくなったってことさ」
「ねえ、大丈夫なの。顔が真っ青よ」
少女は、旅人の両手を握りしめました。その手は、氷のように冷たくなっていました。
「大丈夫さ、すぐに良くなる」
少女は、一生懸命旅人の手を擦りました。ふと、旅人の足もとを見ると見たこともないくらい真っ赤なブーツを履いていました。