ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
驚きすぎて固まる私の手を引き、中に入っていく榊さん。

ソファーに座らされ、榊さんも、横に座る。

「…どうした?」
「…何で」

「…昨日言っただろ?今日も来るって」
「…そうですけど、…そのボストンバッグは一体?」

一瞬ボストンバッグに目をやった榊さんが、私に向き直る。

「…昨日思ったんだけど、夕飯食べたら帰るの面倒だなって思ってさ、そしたら、どうせ毎日ここに来るなら、完治する迄、泊まればいいって答えに行き着いたんだよな」

「…な、なんの冗談ですか?」
「…え?冗談なわけないだろ?本気だよ。だからこうして着替えを持ってきた」

…な、なんと、マイペースな。

「…榊さん、私、仮にも女です。メスですよ!メス!!」

私の言葉に、榊さんは、豪快に笑いだした。

笑い事じゃないってばっ!

地味でも、ブスでも、女に変わりはない!


怒りながら、すくっと立ち上がると、足に激痛が走り倒れこむ。

…。心臓が壊れる。

倒れこんだ私を、榊さんが助けてくれた。抱き止める形で。

「…榊さん…平穏な日常を返してください」

潤んだ瞳で訴えてみる。

「…俺は、刺激的で好きだけど、この日常が」

う、嬉しくなーい!

「…私なんかを弄んで、そんなに楽しいですか?!」

…ぎゅっ。

両頬をつままれた。痛い、地味に痛い!


「…私なんかっていったから、お仕置き」
「…しゃかきしやーん、いらいれふー」

半泣きで訴えた。
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