ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
「…で、晩飯はまだ?」

頬をつまんだまま、私に問いかける榊さん。

私は痛くて、パンパンと、榊さんの手を叩いて見せる。

するとようやく両手を離してくれた。

…お陰で、両頬は真っ赤だ。…グスン。

「…動きにくいので、疲れちゃって、さっきまで寝てました」

正直に答えれば、榊は困ったように微笑み、私の頭を優しく撫でた。

…つねったり、撫でたり。

私は貴方のペットですか?と。いってやりたい。

「…材料買ってきて正解だな。風呂の支度するから、お湯がたまったら先入れよ。その間に夕飯準備するから」

「…榊さん」

「…んな顔すんなって。これは、俺が勝手にやりたくてやってんだから、素直に甘えとけ」

また、頭を撫でると、立ち上がり、お風呂場へ。

帰って来たと思ったら、直ぐにキッチンに向かい、料理を始めた。

…こんな榊さんの姿を見たら、誰もがきっと、惚れるんだろうな。

……。

「…ほ、惚れるもんか!」
「…なんの話?」

思わず声に出てしまった心の叫び。

それは当然、榊さんの耳に入り、逆に私がビクつく羽目に。

「…な、何でもありません」

そう言って、ごまかすのが精一杯。

榊さんは、また、料理に集中していて、私は安堵の溜め息をついた。

…至れり尽くせりでありがたいけど、暇だ。

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