ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
私の膝の上で眠る榊さんの顔を、まじまじと見つめる。

「…まつ毛ながーい」

頬をツンツンしてみる。

「…ん…」

「…ふふ…可愛いなぁ」

髪の毛サラサラ…髪を優しく撫でると、幸せそうな寝顔になる。

「…もぅ、こんな寝顔も見れなくなるんだ」

言葉に出して言ってしまうと、胸がキューっと、締め付けられる。

好きだって、言えたらいいのに。

言って、玉砕するのはもっといや。

会社で目を合わせることも、話をすることも、無くなってしまうなら、言わない方がいい。

「…榊さん、好き」

寝入っている榊さんに、告白してみる。

「…フッ…答えるわけないよね」

また、胸がキューっとなって、涙が溢れる。


流すまいと、目を擦った。

…今夜はこのまま眠ろう。

ソファーにかかっていたブランケットを榊さんにかけると、私は榊さんの手を優しく握り目を閉じた。

~榊side~

…夜中に目を覚ました。

目を開けると、桜子の膝の上で眠っていた。

ブランケットをかけてくれたのか…

「…起こしてくれれば良かったのに」

起き上がった俺は、桜子を抱き上げ、ベッドに寝かせると、自分もベッドに潜り込む。

目の前に来た桜子の顔を見て、動きが止まった。

目尻に、涙が…よく見れば、頬にも涙の跡。

「…桜子」

泣いた理由は分かるはずもなく、少しでも癒されるならと、眠る桜子をぎゅっと抱き締めて眠りにつく。

桜子は、俺にすり寄って、俺をぎゅっと、抱き締め返す。

『もう、一人でも大丈夫』

桜子の言葉を思い出す。

…ずっと傍に居たいなんて言ったら、桜子はどう思うんだろう。

自己肯定かんが低い桜子はきっと、笑って俺を叩くんだろうな。冗談よしてくださいって…

< 26 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop