ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
…次の日の朝、今日は週末の金曜日。明日は休み。

明日、最後の診察で、それが終われば、すべてが終わる。

一緒に部屋で朝御飯を共に食べていても、一緒に車で通勤していても、私はどこか上の空。

時々は、作り笑いを浮かべ、相づちをうった。

「…ありがとうございました。それじゃあ」

そう言うと、私は何時もの道に向かって歩きだす。

「…桜子」
「…どうしました?」

突然名前を呼ばれ、振り返る。

「…今夜、話したいことがあるんだけど」
「…今じゃなくて?」

「…帰ってからの方がいい」
「…わかりました」

いつになく真剣な眼差しの榊さんに、そう答えるしかなかった。

…会社につくと、何時ものように事務をこなしつつ、榊さんの言葉が浮かんでは消えていく。

「…おい、桜子」
「…へ?…ぁ、きよちゃん、どうしたの?経理部なんかに何の用事?」

大学からの友達で、同期の相原清春(あいはらきよはる)

私の唯一の男友達だ。きよちゃんは、凄くイケメンなのにそんな事全く鼻にかけることなく、ブスな私とも仲良くしてくれるいい人。

「…これ、接待の分、経費で落とせる?」
「…あーうん、大丈夫、処理しとくね」

領収書を受け取ると、処理を始める。

「…お前さー」
「…うん?」

「…榊先輩と仲いいの?」

その言葉に驚き、バッときよちゃんを見上げる。

「…なんで?違う部署の人なのに、仲いいわけ…何でそんな事聞くの?」

「…ん?あー、この間、企画部の女子社員が、お前らが仲良く歩いてるの見たって」

「…なっ?!ないない!私と榊さんは、接点ゼロだし!見間違いだよ、うん、見間違い…」

…言わんこっちゃない。

きよちゃんは、疑いの眼差しで私を見下ろしている。

…どーにかしてよ。拷問だ‼
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