ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
「…ふーん?」
「…ぁ、ちょっと、自販機でもいく?奢るし」

私は財布を持つもそそくさと立ち上がり、自販機に向かう。

「…そんなに急ぐなよ、足、まだ痛むんだろ?まだ、そんなもんしてるんだし」

…シーネをしていたことを忘れてた。明日には外れるものだから。

「…アハハ」
「…アハハじゃねぇよ!」

頭をはたかれた…ホント、女扱いしてくれないな。

膨れっ面をすると、きよちゃんは、私の頭を撫でた。

ツンデレ…

「…さん、好きです」

…まだ、午前中ですけど?仕事真っ最中ですけど。

あり得ない告白タイムに、私ときよちゃんは、目を見合わせた。

「…誰が誰に?」
「…ちょっ!覗きなんて悪趣味な…ぁ」

はぁ…見えてしまった。当事者達の顔を。

「…桜子?」
「…ぇ…ぁ、美男美女のカップル誕生、かな…ハハ。邪魔しちゃ悪いから行こう、きよちゃん」

私はきよちゃんを引っ張り、その場を後にする。

…社内一キレイな坂巻さんと、社内一イケメンな榊さんの告白タイム。

…泣くな。まだ、傷は浅い。

私は無意識にきよちゃんの手を握りしめていた。

…仕事に集中…仕事に集中。

呪文のように唱えながら、仕事に集中した。

一日がこんなにも長く感じたのは、初めてかもしれない。

仕事が終われば、早めに帰宅した。

…部屋にある、榊さんの荷物を、全て、ボストンバッグに積めると、玄関の所に置くと、鍵を閉めた。

鍵をかければ、榊さんは、必ずインターホンを鳴らすはず。
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