ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
…うーん、痛い。

やっぱり痛みはなくなる気配はない。歩けるだけましだけど、今日は定時にあがって、病院に行こうかな。

と、足を止める。

『…帰り、迎えにいくから』

榊さんの言葉を思い出す。

「…ないない。迎えに来る理由がない」

そうだ。榊さんは、資料を運んでくれて、尚且つ、私に手当てまでしてくれたのだから、それ以上助けてもらう理由がない。

仕事はしっかりこなしながらも、そんな事ばかり考えてしまう。

…定時前になり、そそくさと片付けを始める。

経理部の私は、定時に上がってもなんの問題もない。

…榊さんは、SI企画の企画部のエース。定時に帰るなんて、無理に等しい。

「…そうそう、無理なのよ」

…5時5分。

私は立ち上がり、挨拶をしながらドアに向かう。

「…ぁ」
「…迎えに来た」

おーおー、そんな大きな声で、言ってくれちゃって。

経理部の皆さんが、全員驚き顔で、こちらを見てますが。

雲泥の差…月とスッポン。

明らかに不釣り合いな組み合わせに、視線が痛すぎますよ、榊さん!

「…だ、誰をでしょう?私はこれで」

私はそそくさとその場を立ち去りエレベーターにむかう。びっこをひきながら。

…当然、そんな足では、榊さんにすぐに捕まる。
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