ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
いつも、いつも、冷たい言い方の春人だとは思っていたけど、ここまで言われると、流石に怒りが込み上げた。

「…春人、酷い」

ポロポロと泣きながら怒れば、春人は私の頭を指でつついた。

「…足をくじいた坂巻を、大通りまで支えて連れていって、タクシーに乗せただけだが、それのどこが悪い?桜子に後ろめたい事なんて、何ひとつしてないけどな?」

「…ぇ」

「…その光景を見てから、そんなに時間経ってないだろ?タクシーに乗せたら直ぐ会社に引き返してたら、お前達が見えて…俺の方が被害者だろ?」

…確かに。

私の勝手な勘違い。

そして、今はきよちゃんに、告白され迫られた形の状況に春人が現れた。

加害者はむしろ、私達だ。

「…ゴメンなさ…っ?!」

謝ろうとしたら、おでこを叩かれた。

「…浮気者はどっちだ全く」
「…う!浮気者なんて、人聞きの悪い!私は春人一筋ですよ!」

「…俺がいること忘れてませんか、お二人さん?」
「「…あ」」

…全くもって、忘れていました。ゴメン、きよちゃん。

「…きよちゃん、私」
「…相原、桜子には俺が必要だし、俺にも桜子が必要だ。どちらがかけても成り立たない。それくらい大事な女だから渡さない」

春人の言葉に、きよちゃんは、ため息をつく。

「…俺がさっさと告白してたら、桜子は俺のものになってたかもしれない。だから、今回は泣き虫桜子に免じて引き下がります。でも、まだ諦めませんよ、榊さん。付き合いは、俺の方が長いんですから、な、桜子?」

「…き、きよちゃん」

困った顔をすると、きよちゃんは、笑って私の頭を撫でた。



「…触るな」

春人が私を抱き締めて隠した。

目を丸くしたきよちゃんは、直ぐに笑い出した。

「…榊さんて、以外と嫉妬深いんですね」

そういうと、今日は帰るよと言って、その場を去っていった。
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