ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
「…誰をでしょう?って、誰だかわかってんだろ?伊集院さん」

そう言って、ニコッと笑った榊さんだけど、全く目が笑っていませんが…

私も、それにつられて笑顔になるも、その笑顔はひきつる。

「…迎えに来る必要性がないです。私なんかのことは気にせず、帰ってください。あ、まさか、仕事が途中とか?それなら尚更私のことなんて放っておいてください」

一気に捲し立て、開いたエレベーターに乗り込むが、榊さんもそれに乗り込んだ。

「さ、榊さん!」
「…うるさい黙れ」
「…」

低い声に、恐ろしくなり黙り混む。

すると、榊さんは満足そうな顔をした。

会社の外に出るとすぐ、タクシーを捕まえた榊さんは、私を先に押し込み、自分もあとから乗り込んだ。

「…あの、どちらへ」
「…勿論病院」

「…ひ、一人で行けますが」

…こ、怖い!!イケメンでモテモテの榊さんは、誰にでも愛想がいいと噂で聞いてたはずなのに、何でこんなに怖いのこの人!

チラッと見たその目は、明らかに怒ってる。

会社から数分で、整形外科のある病院につくなり、夕方なので、空いていたせいか、直ぐに診察。レントゲンまで撮られる。

…ただの捻挫だろうに。

「…先生、足はどんな感じですか?」

レントゲンを見ている主治医に問いかける榊さん。

こちらを向いた主治医の言葉に、目を丸くした。

「…足を捻っただけなんですよね?…剥離骨折ですよ。くるぶしの。ヒビが入っているので、全治1ヶ月ってところですね」

…剥離骨折???
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