ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
「…あの、春人?」
「…桜子が、俺の家にいる」

…ん?

「…春人?」
「…俺のエプロンして」

…ダメだったかな。

「…ごめんなさい、勝手に色々借りて、料理までしちゃいました」

…お。怒られるかな。

「…桜子は俺の彼女なんだから、いいに決まってるだろ?いい匂いがする」
「…煮込みハンバーグですよ」

その言葉に、春人の顔が、ぱぁっと明るくなる。

…嬉しそう。…なんだか、子供みたい。

クスッと笑うと、春人は私をまた抱き締めた。

「…苦しいです」
「…嬉しんだよ。自分のテリトリーに桜子が居ることが」

「…春人」
「…ずっとこうしてたい」

…グー。…二人のお腹の虫がなった。

顔を見合わせると、クスクス笑った。

「…お腹すきましたね、お皿によそいます」
「…あぁ、手伝う」

二人で、準備をすると、それを囲んで、色んな会話をしながら、料理を食べた。

「…片付けはおれがするから、桜子は座ってろ」
「…でも、春人、疲れてるから、私が」

「…それはお互い様」

そう言うと、キッチンで、皿を洗い始めた。

幸せだなぁ、キッチンで片付けをする春人を見ながら、そんなことを思う。

…帰りたくないな。

…でも、帰らなきゃ。お泊まりセットなんて、持ってないし。

幸せな気持ちは、直ぐに小さくなる。

「…桜子?」
「…あの、私、帰らなきゃ。明日も仕事ですし」

私のとなりに座った春人に言うと、春人は頷くことなく、私を抱き締めて離さない。
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