ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
「…あの、急にお泊まりは無理なんで…一応女の子なんで」

色々、お泊まりセットいるでしょう?

「…じゃあ、一緒に桜子の家に帰る」
「駄々っ子ですか?」

「…一緒にいたい、離れたくない」

…ストレートだなぁ。

勿論、嬉しい言葉なんだけど。

こういう時って、どうしたらいいんだろう?

経験値0の私には、分からず…

「…桜子」
「…一緒に行きますか?」

…ヤバッ。子犬みたいで、かわいすぎるんですが。

…結局、本当に私のアパートに来た春人。

ご飯は食べたので、お互いお風呂に入って、一緒にベッドに入る。

私の背中に、春人の体温を感じる。

「…自宅の方が、落ち着くんじゃありませんか?」
「全然」

「…自宅なのに?」
「…桜子が、いない」

…この人は、一々女心をくすぐる言葉を放つんだよね。

「…春人」
「…ん?」

「…それ以上、甘い言葉は禁止します。おやすみなさい」

恥ずかしくて、私はぎゅっと目を閉じた。

「…桜子」
「…寝ました」

「…桜子」
「…何ですか?」

「…俺の事、好きか?」
「…好きですよ」

…何を言わすか、この人は。

背を向けたままだから言えるけど。

「…相原よりも?」
「…なっ?!」

私は驚いて、春人の方に体を向けて、春人の顔を覗きこむ。

眼鏡かけてないから見えないので、その距離は、数センチ。

「…春人疑ってるんですか?私の気持ち」
「…桜子の全てを手に入れてないから」

…全てを。…心はあげたけど。

体はまだ…ですよね、

…しばしの沈黙。







「…春人に…私の全部…差し上げます」







私の言葉に一瞬驚いて、フッと微笑む。




「…今まで我慢してきたから、優しく出来ないかも」



…恐ろしいことを言わないでください。




「…お手柔らかに」






「…無理な相談だな」




その顔は、今まで見た顔とはまた全然違う…

目に光を宿した獣のようで。


春人の言葉通り、狂おしいほど、激しく、そんななか、
甘い言葉は欠かさなかった。
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