ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
黙々と作業を続け、気がつけばお昼で、私はそそくさと食堂に向かう。

さっさと食べて、また仕事に戻らないと。

そんな事を思いながら、パクパクと食べていると、誰かが横に座った。

「…お疲れ。どうした、そんなに慌てて?」
「…きよちゃん、…うん、ちょっと、急ぎの仕事頼まれて」

「…そうなんだ。でも、経理部のオフィスに居なかっただろ?」
「…経理の資料保管室で仕事してるから」

私の言葉に納得したように、頷いたきよちゃんは、ご飯を食べ始める。

私は先に食べ終わると立ち上がった。

「…桜子」
「…ん?」

「…一人で大変なら、ヘルプ頼めよ」
「…うん」

笑顔で頷くと、保管室に戻った。

…数字とパソコンばかり見ていたら、時間なんて忘れてしまう。

終わりの目処がついた頃、ようやく背伸びをすると、掛け時計に目がいった。

…午後7時。

今日は、春人も企画会議が重なってて忙しいとか言ってたから、私ももうひとふんばり。

「…今日はもう会えないかな」

声に出すと寂しくなって、首を降った。

「…桜子」

突然後ろから声が聞こえてビクッとなった。

振り返れば、そこには袋を持ったきよちゃんがたってて、ため息をつく。

「…驚いた」
「…悪い。桜子の事だから、まだ仕事してんだろうなと思ってさ。ほら、これ、差し入れ」


中には、サンドイッチとコーヒーが。

「…ありがとう、お腹すいてたの」

そう言うと、きよちゃんは、優しく微笑んだ。

「…仕事は?」
「…もう少しで終わりそう」

違う部署なのに、仕事を手伝ってくれるきよちゃんに、ありがたみを感じながら、作業を続けた。

…。

「「…終わったー」」

二人の声が聞こえたと同時に、ガチャンと電気も消えた。

8時を過ぎると、保管室は申請してないと、勝手に電気は消され、鍵も自動で、しまることになっている。

申請するのを、忘れていた。

「…き、きよちゃん」
「…桜子?声震えてる」

…暗所恐怖症です。私…
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