ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
怖くて、震えながらうずくまると、うっすらと明かりが。

きよちゃんが、スマホで管理室に電話していた。

電話が終わると、スマホのを、明かりを頼りに私に近づいた。

「…暗いのダメなのか?」
「…うん、小さいときに、イタズラで閉じ込められてから、暗いところがダメになった」

「…参ったな。管理室に電話したら、開けるのに小一時間かかるって言われたよ…これで、少しはましだろ?」

そう言ったきよちゃんは、私をぎゅっと、抱き締めた。

震える背中を優しく撫でる。

一人じゃなくて良かったと思う。

「…きよちゃん、何か喋って」
「…って、言われてもなぁ。急に面白い話なんて思い浮かばない」

「…面白くなくてもいいよ。何でもいい」

…。だから、何か喋ってってば。

「…榊さんとは」
「…ん?」

「…いつ知り合った?」
「…2ヶ月前くらい、かな。それまで一度も話したこと無かったんだけど…ちょっと事故に遭って」

…その時の経緯を話すと、きよちゃんはため息をついた。

「…きよちゃん?」
「…その相手が、俺だったら良かったのに」

…、そうだ。きよちゃんは、私のこと、好きだったんだよね。

…っていうか、この体勢まずいよね。

今さら気づいても後の祭り。

いや、でも、今離れれば。

「…ゴメン、あの、もう、大丈夫だから、離してくれていいよ」

「…震えてるくせに?」
「…ぅ」

えぇ、そうですよ。暗いことに何ら変わりはないので、怖いです。怖くて、仕方ないです。

でも、やっぱり…

「…電気つくまで、こうしてろ」
「…でも」


…ぁ、ついた。


「…桜子!!」

「「…」」

…この体勢、問題ですよね。

…怒ってますよね、その顔。

「…榊さん、どうして」

きよちゃんも、少し戸惑いつつも、その腕は、力がこもる
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