ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
~榊side~

午後8時過ぎ。企画会議が長引いて、やっと先程終了した。

…桜子はもう帰っただろうか?

携帯を鳴らしてみるも、応答はなく、もしかしたらまだ、仕事をしているのかもしれないと、経理部のオフィスを覗いてみると、桜子の鞄が、デスクの上に置かれていた。

…が、どこにも桜子の姿はなく、あちこち探してみたが、居ない。

途中、管理室の前を通ると、何やら数人の管理人やら警備員がバタバタしていた。

「…あの、どうしたんですか?」
「…あ、企画部の…ちょっと手違いがありまして、対応中でして」

「…手違い?一体何の?」

俺の問いに、顔を見合わせた管理人達が、仕方なくと言った感じで、口を開いた。

「…経理資料の保管室に、人が閉じ込められてしまって」
「…経理資料の保管室に…?!」

…それが桜子だと直ぐに分かった。

「…閉じ込められてから、どれくらい経ったんですか?」
「…そろそろ30分ですね。もうすぐ開けれそうなんですけど」

その答えを聞いた俺は、自然と体が動いていた。

「…開いたら直ぐに、俺の携帯ならしてください!」

そういい残して、保管室に走った。

…イライラしながら、待っていると、携帯がなり、急いで社員証をかざすと、ドアを開けた。

「…桜子!!」
「「…」」

…これは一体どういう状況なのか?

「…榊さん、どうしてここに?」

そう言ったのは、相原で。

相原の腕の中にいる桜子は、涙目で俺を見つめていた。

…どうしようもない感情が込み上げてきた。

怒りが込み上げた顔で、二人に近づくなり、桜子を引っ張り立たせた。

「…はると」

少し怯えたような桜子の声に。相原がすかさず助け船が出る。


「…桜子を責めないで下さい。責めるのはお門違いですよ」
「…相原、桜子に何をした?」

「…なっ!なにもしてませんよ‼暗所恐怖症の私を、勇気づけようとしてくれてただけで。閉じ込められたのだって、私が申請するのを、忘れていただけで。だから、きよちゃんを怒らないで下さい。悪いのは、全部…私なんです」

言うだけ言うと、桜子はポロポロと泣き出した。

俺はため息をついて、桜子を抱き寄せた。

「…仕事は?」
「…おわ、り、まし、た」

「…相原」
「…はい」

「…桜子が、悪かったな」
「…」

俺は桜子を連れ、経理部に歩き出した。

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