ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
…春人ときよちゃんのおかげで、一度は回避できたけど、その後も、昼休みに入るまで、似たような事が数回起こり、その都度、同じ部署の同僚や先輩達が私を助けてくれて、無事?に、昼休みを迎えることができた。

「…伊集院さん、出られる?」

桜子と呼ぶのは、場違いだと思い、春人は名字で私を呼んでくれた。

「…はい、出られます。すみません、ちょっと、外に出てきます」

そう言うと、オフィスを出る。

「…わっ!」
「…桜子!」

…オフィスがまた、騒然となる。

致し方ない。

私がなにかにつまずき、春人が私を抱き止めた。

その光景が物珍しいもので、皆が驚いたのだ。

ただでさえ、ブスな私と、イケメンの春人というあいだがら。

大体、そんな接点のない二人の筈なのに、仲睦まじい姿を見せられれば、誰でも驚くことは必至。

でも、今の私は、とにかくこの何も見えない状態を何とかしたくて、手を引いてくれる春人に必死に付いていった。

「…二個買うからな」
「…え?」

春人の言葉に目を丸くする。

「…コンタクトは絶対買わせない。メガネ二個」
「…春人?」

どうしてかわからない私は、ただただ首をかしげる。

すると春人は、ため息をつき、私のおでこを小突いた。

「…な、何するんですか?」
「…桜子は、自分の可愛さが全く分かってない」

…何を言い出すか、この人は。

「…私は可愛くないですよ!何いってるんですか?」
「…じゃあ、今日何人に口説かれた?」

…口説かれた?私が?

「…うーん、1人、かな」
「…無自覚かよ」

…ペチ。おでこを叩かれた。

痛いんですよ!地味に!

怒った顔を見せれば、またおでこを叩かれた。もぅ!

「…その顔も、男の前では禁止。したら、罰として、おでこを叩く」
「…いや!それはいやです!痛いもん!」

全力で、拒否すると、春人はフッと笑った。

…それからやっとメガネ屋に行き、二つを選ぶ。

1つは数分で準備出来るとの事で、それを待つ。

「…悪い、ちょっと仕事の電話」

そう言うと、春人は店外へ。

…。

「…お待たせしました」

1人待っていると、店員さんが、出来上がったメガネを持ってきてくれた。

「…ありがとうごさいます」
「…あの、これを」

…。これは。

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