ブスも歩けばイケメンに当たる⁉
メガネの引換券と小さな封筒。

「…あの、これは一体?」
「…ちょっとした割引券です」

そう言って、微笑んだ店員さんの顔は、癒し系の顔だ。

「…桜子」
「…あ、ありがとうございます、それじゃ」

私はそれらを鞄にしまうと、真新しいメガネをかけ、春人の傍に小走りに向かった。

「…よく似合ってる」
「…そうですか?ありがとうごさいます」

そう言ってはにかめば、春人は微笑み私の頭を撫でた。

「…桜子」
「…何ですか?」

「…さっき」
「…さっき?」

「…店員から何を貰ったの?」
「…メガネの引換券と、割引券ですけど?」

…なんだか、疑いの目で見られてるんですが、何故でしょうか?

「…あの、春人?」
「…ん、ならいい」

「…」

首をかしげる私の手を握ると、春人は社に向かって歩く。

「…春人」
「…何?」

「…もう見えるので、手は繋がなくても」

私の言葉に、足を止めた春人は、こちらに振り返った。

「…いいんだよ。これは、牽制の意味があるから」

…牽制の意味?

目をぱちくりさせる私にフッと笑った春人はまた歩き出した。
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