ESCAPE
「このヒト、人殺しです!」
そう叫んでも見たかったが、幸いこんな田舎じゃ彼の手配写真も張られていないし。そんな風に罪深きキャラになるつもりもない。警察に売って、今目の前にいる羽振りのよさそうな着物オヤジから懸賞金をくすねてみようとする魔も差したけど、残念ながらアタシにはそんな勇気は微塵もなかった。

カメラを持ってこなかったので、両手の親指と人差し指をL字型にしてフレームを作ってみる。フレームの中の3人は、久しぶりに再会した親子といった感じだ。幸せなんてよくわからないのだけど、他人の幸せを傍から見ると所詮こんなものなのだろうか。ここに、赤ん坊の一人でもいれば尚いい。

パチリ。アタシは、他人の幸せを激写した。
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