ラズベリーな恋模様(A・T)
ごめんね、と思い切り頭を下げて謝る。
これは言い訳なんかじゃないんだけど、毎日連也くんといられることが嬉しくて、毎日幸せ噛み締めるだけで精一杯で、記念日を忘れていた。
でも、こんなに大好きなのに忘れるなんて、自分が情けない。
連也くんはそんなあたしを呆れながらも、おいで、と隣に座るように促す。
もちろん、あたしは連也くんの隣に座った。
「懐かしいな……。寝てたら架樹が来て」
「うん。本当にびっくりしたよ。まさかあの連也くんが、こんなにイケメンだったとは」
あの時のことは、今でもハッキリと覚えている。
あまりに衝撃的なことだったから、ってのもあるけど、何より、あたし達の恋の始まりの時だから。
ちょっと酸っぱくて甘い、レモンな初恋の始まり。
そうやって、あの時のことを懐かしく思っていると、
「なあ、架樹。再現、しよっか?」
と、唐突に言われた。