ラズベリーな恋模様(A・T)
その代わり、
「冬穂にとっても、大切なイブじゃん。それに、我慢なんかさせたくない」
「我慢じゃないよ!わ、私がっ、お化け屋敷に入りたいの!!」
「……は?」
大声で何を言ってるんだ、と思った。
灯も目をパチクリとさせていた。
さっきお化け屋敷に入らないように仕向けていたくせに、怖がっているくせに、なんて馬鹿なことを言っているのだろう。
分かりやすすぎる、明らかな嘘だ。
「いや、さっき怖がってたじゃん」
「こ、怖がってない!」
「違うの乗ろうって言ってたじゃん」
「い、言ってない!」
「いや、」
「さっさと行くよ!」
私は、半ば強引に灯を列に戻し、二時間列に並んだ。
灯はそんな私を、呆れたように笑っていた。
「キ、キャーーーーーッ!!!」