ラズベリーな恋模様(A・T)
灯はそんな私に、
「気遣ってくれて、ありがとう。でも、そんなことしなくても良かったんだけどな」
「へっ……?」
「だって俺、去年も楽しかったもん」
私は目を見開く。
去年が、楽しかった?
信じられないセリフだった。
「冬穂とデート出来て、一緒にツリー見て。好きな人とクリスマスを一緒に過ごせるって、それだけで幸せなもんじゃん?」
「とも……」
灯のニカッとした笑顔が胸をじんわりと温め、私はくすっと笑った。
「…そうだね」
「まあ、その後岡本と一緒だったってのは、許せねえけどな」
「……すみませんでした」
「ははっ、大丈夫だよ。もう時効時効」
灯は、明るく笑った後、徐ろに立ち上がる。