ラズベリーな恋模様(A・T)
「……まずっ」
「でしょ」
くそっ、と悔しそうにペットボトルを見つめる灯を、私は可愛らしく思いながら笑う。
その時、クリスマスツリーが点灯した。
クリスマスツリーだけでなく、近くの木々も一斉に点灯し、辺りは綺麗なイルミネーションに包まれる。
その光景は、去年と似ていて、だけどほんの少し違う。
そう思うのは、私達の心が違うから。
「おお!綺麗」
「本当にねー」
綺麗。去年の何十倍も綺麗。
「俺、これ見たの二回目」
「ふふっ、私も」
「二回とも冬穂と見れた俺、幸せだな」
「何それ?」
私はくすくすと笑う。
でも、私も同じことを思っていた。
灯と見れて、すごく幸せ。
「なあ、冬穂」
「うん?」
「……来年も再来年も、ずっと、一緒に見ような」