君に、会いたい
次の日の朝。
2人を祝福する様に、とてもいい天気。
澄み切った青に、満開のピンクの桜。


「よし、出来た!」
「桜ー!お兄ちゃん来たよー!」
「え?!」
何だか、こっちが緊張しちゃって
セットに時間がかかってしまった。もうこんな時間。
早く起きたつもりが…時間を弄んでしまったな…



「行ってきまーす!」
そう言って玄関を出ると、兄の車が止まっていて、慌てて乗り込んだ。


「ごめんね、お待たせ!」
「忘れ物ないか?」
「ないない、完璧!」



「おはよ、桜ちゃん!」
隣に座っていた史歩が声をかけた。
「おはよ!久しぶりだね!」
久しぶりに会うな、史歩ちゃん。



「おはよ」
稜が、笑顔で助手席から後ろを覗きこんだ。
「あ!おはようございます!朝から慌ただしくて、すみません」
稜さん居るんだった、恥ずかしい…



「こういう姿が可愛いんだよ、桜ちゃんは!そう思わない?」
史歩が稜に話しかけた。



「可愛いよ」


予想外の言葉に、キュンとしてしまった。
朝からいい思いしてしまったな。
ありがとう、史歩ちゃん!!



「髪、桜ちゃんセットしたの?上手だね!」

「ありがとう!でも、すごく時間掛かっちゃったよ…緊張しちゃって…私の結婚式じゃあるまいし、こんな自分が笑える」
桜の言葉に、みんなは大笑いをした。



「面白いね、桜ちゃん」
稜の言葉に、
「あ、恐縮です」
その返しに、またみんな大笑い。
とても楽しい車内だった。



「桜ちゃん、ネックレスしないの?」
史歩の言葉に、
そういえば…忘れてた!

「あ、忘れちゃった!でもいいよ」

そう言うと、史歩が自分のネックレスを外し、桜の首に付けた。



「これ付けてみて。あ!やっぱりネックレスあった方が良い!いいよね?大和」



あ、お兄ちゃんからのプレゼントなんだ。いいのかな?
一粒のダイヤモンドネックレス。何だか大きいし、高そう…



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