君に、会いたい
式場の前に車が停まった。


「駐車場に停めるから、桜はここで降りろよ」
お兄ちゃんが言った。

「ありがとう!史歩ちゃん、稜さんすみません便乗して。たくさん食べてください、お兄ちゃんのおごりで!」
では!と、言い逃げをした。


「慌ただしいね、桜ちゃんって。」
稜さんの声が聞こえたけど、特に気にはしなかった。
緊張が高まる。


受付を済ませサロンへ入ると、高校の同窓会状態だった。
懐かしい顔ぶれに、とても懐かしく、嬉しい気持ちになった。


「桜ー!こっち!」
親友の渚(なぎさ)と凛(りん)が手を振りながら、私を呼んだ。
2人に駆け寄ると、
「桜、結婚式忘れてるかと思ったよ!なかなか来ないし!」
「そこまでバカじゃないよ!」
と、渚といつものノリ。



私と渚、凛とひまりはいつものメンバー。
中学校からの付き合いで、何をするにも4人。
だから、ひまりの晴れ姿の日を忘れる訳がない!!!



「電話したけど、気づいた?桜、携帯持ってる?」
いつも冷静な凛ちゃん。



「あ…」
バッグを開けようと思って手を掛けた時に、気づいた。
私、手に持ってたんだった…


「さすが凛ちゃん。持ってない、お兄ちゃんの車の中だ。緊張して忘れたわ…」

「後で写真送るから、気にせず」

「うん。」
祝儀袋に気を取られて忘れるとか、私のやることだね…


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